堅実

19日、王者・帝京大戦。練習試合とはいえ帝京大に8年ぶりの勝利、歴史的な一戦で攻守に輝きを
放ったのがルーキーCTB長田智希選手。

「いつも帝京に大量点差をつけられて負けているな…というイメージもあったので、(ワセダに
とって)大きな相手なんだなと分かっていました。そこに勝てたという事はチームにとっても、
僕にとっても、すごく大きい事だと思います。」

東海大仰星高校時代に主将として全国制覇、更には高校日本代表と多くの舞台を経験してきた
長田選手ではあるものの、大学Aチームデビュー戦がリーグ戦王者の大東文化大、2戦目が大学王者の
帝京大という状況に正直な思いを口にします。

「本当に強い相手と2連戦…とても緊張しましたし、不安もありました。」

前半は足が動かなかったと振り返る長田選手に勇気を与えたのは先輩達のプレーでした。

「自分たちがペナルティを取ったり、ゴール前のディフェンスで止め切って最後ターンオーバー
したりというところでの周りの先輩方…特にFWの方の声に、気迫、気合がめっちゃ感じられて、
心強かったです。」

前半15分には自らの突破でCTB桑山淳生選手のトライをアシスト、後半4分には忠実なサポートから
独走トライ、1トライ1アシストの活躍で試合の流れを呼び込みます。

「(アシストは)帝京大学は出てくるディフェンスをしてくるという分析の中で、シンプルに
タテに強いプレーをしようと。(トライは)外でいいゲインをしてくれて、僕がたまたま内側を
サポート走って、最後繋がったというところです。BKの強みをしっかり活かしたトライかなと
思います。」

始まるまでは不安すら感じていた初めての大学王者との一戦を終えて、手にした自信を長田選手が
続けます。

「自分の強みにしていこうと思っているハードワーク。いいタックルとかはフィジカル面で(負けて)
出来なかったのですけど、ちょっとでも走って、タックルするというところは出せているかなと
思いますし、強気にゲインラインを越えに行くというところは出せていると思います。」

BK陣のリーダーSO岸岡智樹選手は、いたずらっぽく笑いながら、ルーキーのプレーを採点します。

「長田は70点くらいじゃないですかね。河瀬は今日は30点くらい。まだまだですね(笑)」

東海大仰星高校の2つ下の後輩を軽く”いじった”後、真顔に戻ります。

「1年生として初めての帝京戦…僕はめちゃくちゃ緊張していて、こんなにやった覚えはないです。
外国人選手に吹っ飛ばされたところもあるのですけど、そんなの気にせず、もう一回立って、
がむしゃらにボールを追いかけて、走って…、トライを取ったら先輩と笑顔で(抱き合って)。
今年はラグビーの楽しさを学んでくれる1年間でいいんじゃないかなと思います。」
(SO岸岡智樹選手)

自身のルーキーイヤーと姿を重ねた後、既に戦力として機能するルーキーについて続けます。

「先輩と遜色ないくらい、やってくれているので2コ下ですけど助かる存在ですね。めちゃくちゃ
突破力があるとかトライをするとかじゃないですけど、安定感、安心感の部分がすごい大きいので
信頼できる後輩の一人です。」(SO岸岡智樹選手)

先輩から最大級の賛辞を送られながらも、長田選手はルーキーらしからぬ落ち着いた受け答え、
浮かれた様子は全く見せずに課題を口にします。

「高校の時、菅平といったら毎日試合をしていたのですが、大学の一試合の疲労度をすごい感じて
います。高校とはまったくコンタクトレベルも違いますし、80分という長い時間、ひとつひとつ
しんどいなぁ…と感じています。大東文化、帝京と2つやってきた中で、フィジカルの部分で
課題を感じています。」

夏合宿最終戦は東海大との対戦、長田選手は最後に気持ちを引き締めます。

「変わらず継続していく部分としては粘るタックルの部分、そこでしっかりチームに貢献できる
ようにするのと、一つでも前に出られるアタック。ゲインラインの攻防はチームとして拘る部分
でもあるので、ディフェンスでもアタックでも貢献できるように。気を緩めることなくあと中4日、
しっかりリカバリして、次の試合に臨みたいと思います。」

絶対的エース中野将伍選手、春から好調を維持する桑山淳生選手らタレント居並ぶCTB陣にあって、
ルーキーながら堅実さを武器に勝負を懸けます。【鳥越裕貴】



前半、自らの突破からチャンスメイク、トライを演出するCTB長田智希選手。12番での起用が
続く夏合宿、「1年生で出させてもらっている責任があると思うので、しっかりその責任を
果たせるように貢献できたらと思います。」

inserted by FC2 system