突進

29日、ジュニア選手権・法政大戦。持ち味のタテへの突進力でチームに勢いを与え、更にディフェンスでは
接点でボールを奪い返すなど存在感を見せたのがルーキーPR阿部対我選手。

「(ランは)自分の長所。ボールをもらったら必ず1メートルでも前に出たいです。みんなよりラグビーが
上手いとかではないので、僕が前に出る事によって少しでも皆を楽にできたらと思っています。」

後半17分にはゴール前ラックから「決め切らなきゃいけない」(PR阿部対我選手)とサイドをこじ開けて
トライも記録し、チームを盛り上げます。

小学校2年時に上井草グラウンドを練習拠点とするワセダクラブでラグビーを始めた阿部対我選手にとって、
早稲田大学ラグビー部は常に身近な存在でした。

「早実初等部に通っていた事もあって、大学生は先輩方として、強い人たち…カッコいいなと見ていました。」

中等部、高等部を経て昨春早稲田大学へ。小さい頃から憧れたラグビー部への入部を目指したものの、
その姿は入部式にはありませんでした。

「自分が想像していたよりも、厳しいというか、自分の中のワセダとの間にギャップがあって…。違うのかなと
思って…。」

上井草を去り、東伏見へと場所を移して、米式蹴球部の門を叩きます。ランニングバックとして新しい挑戦を
始めつつも、丸尾崇真選手ら早実時代の同期がルーキーイヤーから活躍する姿に気持ちが揺らぎます。

「自分の決断で昨年は入部しなかったのですけど、丸尾崇真とかAチームに絡んだりしていたので、そういうの
を見ていて、虚無感というか…。」

1年生が終わる頃、先輩や高校同期の励ましもあり、ラグビーに再挑戦しようと気持ちを固めます。新人練習を
経て2年入部、体の強さを生かした突進力を武器に夏合宿にはBチームに浮上、23日の成蹊大戦では早くも
対抗戦のメンバー入り、アカクロジャージに袖を通します。順調な成長曲線を辿りつつも、その成蹊大戦では
悔しさも味わいます。大差の試合にも関わらず、23選手中、ただ一人ピッチに足を踏み入れることなく、ベンチで
ノーサイドの瞬間を迎えます。

「リザーブに選ばれて試合に出られなかったという事は、まだ監督たちの中で僕はAのレベルに至っていないと
判断されたのだと思います。その理由をしっかり考えて次選ばれた時は出られるように。(試合に)出られて
いないなら、他の誰でも良かったという事、僕じゃなきゃダメだという事を押し出していきたいです。」

今季から背番号8に定着する丸尾崇真選手との高校時代以来のプレーはお預けになりながらも、阿部選手は
前を向きます。

「(丸尾)崇真は僕の事をずっと…去年もずっと『(ラグビー部に)来るでしょ?!』みたいに、たまに学校で
会ったら言ってくるというか、呼んでくれていたので…。たぶん崇真が一番期待してくれていると思いますし、
裏切りたくないので。」

丸尾崇真選手とのトップチームでの共演が次なる身近な目標、ここからは寄り道なく、プレースタイル同様に
一直線に突き進みます。【鳥越裕貴】



前半、タックラーを引きずって前進するPR阿部対我選手。スクラムでも圧倒しつつも細部が課題と話します。
「首の位置、首の取り合いの面で相手に譲ってしまったりだとか、あとはスクラムを組む際に足の置く位置を
決めるのですけど、そこに拘れなくて、思ったより足の位置が後ろだったり、前だったりしたので、そういう
ところに拘っていきたいです。」

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