引継

23日、伝統の早慶戦。ワセダは鋭い出足で慶應のアタックを封じ込めて21-14で接戦をモノにします。
敗戦チームから順に行われる記者会見、慶應の金沢篤ヘッドコーチがワセダを称えます。

「早稲田大学さんのうちのFWに対するディフェンスのプレッシャーが今日は特に素晴らしかった。
ケイオーの9番からのアタックにワセダのディフェンスが2人、3人とかけていて非常に強かったですし、
いつもだったらそこである程度ゲインできて、リズムを作るところで色んな面で粘り強くディフェンス
されたので2トライという結果に留まったのだと思います。」

続いて記者会見の席についた相良南海夫監督は同じポイントを逆の視点から振り返ります。

「(ラック周辺の)あのゾーン、(SH)江嵜君が仕掛けてくるというのもありますし(FL)川合君が
うまく持ちだしたり(FL)山本君とか良いプレーヤーが多かったので、ラック周りのところを抑えて、
BKに放ったらしっかり面で上げていくと…そういうところを徹底して練習していました。今日は
ディフェンスで粘り強くやっていこうととにかく今日は我慢比べの試合だと選手を送り出して、本当に
我慢比べにわずかながら勝てたことがきょうの結果になったのかなと思います。」

45失点で敗れた3週間前の帝京大戦、この試合と夏合宿で勝利した帝京大戦の映像を見返して改めて
立ち返ったのはディフェンスで前に出る意識、佐藤真吾主将が話します。

「夏の帝京戦はすごい一人一人が前に出ていて相手にプレッシャーをかけられて、相手の考える時間を
なくすことができたのですけど、前回の帝京戦はそこがうまくできなかった。今回の慶応戦で一人一人が
前に出る意識というのを一番にフォーカスしてきました。」

試合を通じ、終始ディフェンスでプレッシャーをかけ続けると、最後もゴールラインを背負って
粘りの防御が相手のノックオンを誘います。

「FWサイド来るな…と分かっていたので、そこでしっかり前に出られて、一人目二人目と全体的に
見ると皆良かったので、そこでテンポも崩せたのではないかと思います。」(HO宮里侑樹選手)

「少し最初受ける場面もあったんですけど、結果的にディフェンスで勝つと…前半の途中も常に
ディフェンスで守り切ることができていて、後半も我慢することができたと思います。」(佐藤真吾主将)

4日の帝京戦から約3週間で見せた修正力、この間行われたジュニア選手権、そして練習試合
(10日、日大戦。18日、流通経済大戦)でチームのテーマを体現したBチーム以下のメンバーが
Aチームに刺激を与えます。

「相当、刺激になりましたね。帝京戦が終わってからずっとディフェンスにフォーカスしていて、
そこでBチームがジュニア戦でああいう風に見せてくれて、自分たちもやらないと…と思いました。」
(LO中山匠選手)

「Bチームが(ディフェンスで勝つという事を)体現してくれて、自分たちAチームも勿論やらなければ
ならないと気持ちも上がりましたし、一緒の事をやってきた下のチームが体現してくれたのに、
Aチームが出来ない訳にはいかないです。」(HO宮里侑樹選手)

この日序盤にプレッシャーをかけて相手のリズムを崩したラインアウトでも、Bチームが仮想ケイオーと
してAチームを練習からサポート。SH齋藤直人選手はこの試合を欠場したLO三浦駿平選手の名前を左腕の
テーピングに書き入れ、思いを背負って戦うなど応援席の部員も含めて、チーム全員で掴んだ価値ある
早慶戦勝利。

「結果的にディフェンスで通用すると改めて自分たちの強みがディフェンスであることを再確認できた
試合でもありました。今年1年かけてやってきたので、早明戦もディフェンスで勝つことは勿論なのですけど、
今回の試合もスクラムのところだったり、ちょっとしたペナルティーが何度かあってピンチになった場面も
あったので、ペナルティーとセットプレーをこれから1週間、しっかりフォーカスして、アタックの部分に
関しては今までやってきたことに変わりはないので、精度を積み重ねていくことだと思います。」
(佐藤真吾主将)

帝京戦の敗戦から3週間、Bチーム以下が作った良い流れをそのままAチームが引き継ぎ、一体感を増す
佐藤組。対抗戦優勝を懸けてメイジとの大一番に臨みます。【鳥越裕貴】



ノーサイド、喜びを爆発させるフィフティーン。早明戦に向けて指揮官は「この早慶戦に向けても
ディフェンスにフォーカスしてやってきたので、まずはそこをしっかり積み上げていくこと。メイジさんは
スクラムが武器だということはよくわかっていますので、そこに対してどのように対策をしていくか…準備の
限られた期間の中でしっかりやって、勝てば対抗戦優勝ということなので、とにかく1点でも上回れるように
気持ちを込めたいい試合ができればと思います。」(相良南海夫監督)

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