姿勢

2日、伝統の早明戦。アフターマッチファンクションを終えてクラブハウスから出てきた古庄史和コーチが
こちらに向かいながら笑顔で第一声。

「ゲバの勝利ですね。」

ゲバとはワセダの中で行われる部内マッチの通称。早明戦前日、Aチームによる試合前練習の直前に早明戦に
出場できないB、C、D、Eチームのメンバーにより30分×3本(BvsC、CvsD、DvsE)でゲバが行われました。
大差になる事が多い上位チームと下位チームの対戦にも関わらず、いずれの試合も地力で劣る下位チームが
粘りのディフェンスを見せて、3試合全てが1トライ差以内と緊張感のある試合が続きます。観戦していた
Aチームのメンバーは口を揃えます。

「Bチーム以下の選手が最後の最後まであきらめない姿勢、ディフェンスで勝つという姿勢、今年1年やって
きたことを体現してくれて胸が熱くなりました。その本気で戦う姿勢が(早明戦勝利に)繋がったと思います。」
(FL佐藤真吾主将)

「B以下のチームが(ワセダの)やりたいことを体現してくれたので、それを代表して出る自分たちが
やらなきゃいけないといい刺激になりました。」(FL幸重天選手)

「やっぱり感じるものがあります。(部内マッチに)全員が出ている中でこの人たちの代表なんだという
自覚が生まれました。」(NO.8丸尾崇真選手)

下位チームの奮闘がAチームのメンバーに責任、そして代表意識を改めて植えつけます。この日、ディフェンスで
体を張り続けたCTB桑山淳生選手はその部内マッチの中でも印象に残ったシーンを続けます。

「ゲバの中でも4年生の意地がすごくて…そういう人たちがB以下にいるからこそまた頑張れる。」
(CTB桑山淳生選手)

早明戦試合前練習で紫紺のジャージを着せたタックルダミーを持つ役も、通常1年生が行う試合当日のアップの
補助役も、そしてロッカールームから出陣するフィフティーンにベンチコートを手渡す役も全て試合に
出られない4年生が務めます。

「嬉しいですね。4年生からオレの分も…という気持ちが伝わってきました。」(NO.8丸尾崇真選手)

「自分と同じ部屋の(副将・西田)強平さんが試合前に頑張れよ…と言ってくれて、強平さんも悔しい思いが
あると思うのですけど、そういう思いも背負って自分としてはやらなきゃいけないと。」(FL幸重天選手)

スタメン出場している4年生はPR鶴川達彦選手、HO峨家直也選手の2選手のみ、メンバー表上は下級生主体の
若いチームでありながらも、チームを一つに纏めているのはやはり4年生の存在。試合前アップでの最後に
タックルダミーを持った4年生CTB伊藤大貴選手、同じポジションを争うライバルでありながらも献身的に
サポートする姿勢が下級生の心を動かします。

「(伊藤)大貴さんとか特に同じポジションだったり、前期も同じ寮の部屋だったりして、すごいお世話に
なっていて…。そういう人たちが頑張れよとか応援の言葉をかけてくれるのは気持ちが引き締まりますし、
頑張ろうと思います。4年生を勝たせてあげたいと思えるようなすごいいいチームだと思います。」
(CTB桑山淳生選手)

早明戦勝利から1週間、8日の上井草グラウンド。タックル、タックル、タックル、タックル、タックル…
5度タックルして起き上がり今度はボールキャリー。この日もCチーム以下の4年生が黙々と反復練習を
繰り返していました。【鳥越裕貴】



早明戦勝利で笑顔を見せる4年生。実質1学年上の5年生PR鶴川達彦選手(左から3人目)も前日の部内
マッチで刺激を受けた一人。「4年生がプレーでAチームを勢いづけてくれました。今日はいつも以上に
チームの代表として試合に出ている事を感じながらプレーしました。」

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