主体

22日、大学選手権準々決勝・慶應義塾大戦。記者会見の冒頭、試合の振り返りを求められた相良南海夫監督は
短い言葉に思いを詰め込みます。

「とにかく一言だけ、勝ち切れたと言うか、最後勝ったことが全てだと思います。」

負けたら今シーズン終了、4年生にとっては引退となる大学選手権。試合に出られない4年生の思いも背負っての
戦いの中での緊張感をFL佐藤真吾主将は「怖さ」という言葉に置き換えて表現します。

「ビハインドの時は、(終わってから)皆も口にしていたのですけど、非常に怖かった…。(逆転できて)
正直気持ちとしてはとてもホッとしました。嬉しさよりもホッとした気持ちの方が強いです。」

それでも80分を過ぎて、ラストプレー4分間の連続攻撃で見せた高い集中力、指揮官は佐藤真吾主将の言葉に
付け足します。

「キャプテンが今、怖かったと言いましたけれども、今週は選手の方から場面ごとのシチュエーションを想定
した練習をしてほしいと話がありました。残り数分という中で4点ビハインド…という想定でのチームアタック、
ディフェンスとかを練習をしていたので、最後は取り切る意識、絶対に勝つという信念がこういう事に繋がった
のかなと思います。」(相良南海夫監督)

早慶戦、早明戦と試合の終盤にトライを奪われて追い上げられた反省から、最後の時間の使い方を特に意識した
と佐藤真吾主将は話します。

「練習中もラスト何点ビハインド…みたいな設定を作って欲しいと、僕らもプレーを変えて色々やりたいと
提案しました。最後まで集中力を切らさないとか、リザーブが入ってきたりとか、そういうのも含めて出来るだけ
ゲームに近い状態、フィットネスもキツい状態でやっていました。」(FL佐藤真吾主将)

フル出場したFL幸重天選手もその効果を口にします。

「普通の練習ではできない最後何点差かで攻めきるアタックだったり、そういう状況を作って練習することで
試合を想定してやることができました。今日4点差という状態で最後、ゆっくりゆっくり自分たちの形でミスを
せずに攻めたらBKも最後取りきってくれると思っていたので良かったです。」

選手達が考えて準備した上で迎えたラストシーンもまた自主性から生まれたもの。右サイドへのBK展開、14番
右WTB長田智希選手の更に外側にポジショニング、数的優位を作り出してトライをあげたのは左WTB佐々木尚選手。

「自分で考えて動くところが求められています。動き出し、チームとしてもMovingというテーマを掲げている
ので、その辺は意識できたかなと思います。」(WTB佐々木尚選手)

「今のバックスリーは自由にボールをもらえるところに参加しようと言うのがあるのですが、あれだけ運動量を
持ってくれて、アタックでオプションになってくれたり、SOとしては有難いの一言に尽きます。」
(SO岸岡智樹選手)

選手達が自ら考えるラグビーで5年ぶりの年越し。課題は全員が口を揃えるように「ミスの多さ」、司令塔で
ゲームキャプテンを務めるSO岸岡智樹選手も振り返ります。

「ディフェンスが長かったので、その分FWがディフェンスで消耗しているというのをBKが感じ取れずに、
FWフェーズを重ねてしまった。そこはBKが展開したり、もう1回エリアを取ってディフェンスから始めるのか
判断が遅くて何となく攻めてしまった。もうちょっと意図したアタック…洗練するじゃないですけど上手く
やっていきたいです。」

再び選手が主体となって考え、修正する時間。年越しを経てまた一段と成長した姿を見せてくれるはずです。
【鳥越裕貴】



試合中も常にコミュニケーションを取り、意志の疎通を図るフィフティーン。正月の準決勝は明治との再戦に。
「相手がどうのこうのと言うよりも、今日一度死んだ身というか、もうそういう立場なので、とにかく自分達の
できること、これから一日一日成長してどれだけ明治さんにぶつけられるか、もうそこに尽きると思います。」
(相良南海夫監督)

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