地道

8日、対抗戦・青山学院大戦。試合後、整列してのマン・オブ・ザ・マッチの表彰式、選ばれたのは4年生LO三浦駿平選手
でした。中野将伍選手、岸岡智樹選手らトライを量産したBK陣を差し置いて、それを下支えしたセットプレーのキーマンの
選出。三浦駿平選手は選ばれた時の心境を話します。

「ビックリしました。今日は80分間出て、ある程度のプレーができたのでワンチャンあるかな…と思っていたのですけど、
でも(選ばれるのはBK陣だろうと)ないな…と思っていました。うれしいですね。」

前半には相手を押し戻すタックルでターンオーバー、後半には事前の分析をベースに対応力を加えてラインアウトスチール、
ボールを奪い返してトライの起点となるなど攻守に激しさを見せます。

「アタックだったらボールを持ったらゲインするだったり、ディフェンスだったらしっかり押し返して引かずに止めるという
自分のやるべき事を…地味なのですけど、80分間継続してできたのではないかと思います。ラインアウトでは相手のムーブに
対してしっかり反応してボールを取りに行くのが何本か成功できたのでよかったと思います。」

一方で課題に対して目を向けることも忘れずに。

「(当たり方が)がまだ高く行っちゃう場面がありました。強い相手には通用しないタックルだったり、もう少し精度をあげて
いきたいと思います。また今日は暑かったですけど、その中でしっかり早いポジショニングしようという意識していたのです
けど、全然…まだまだですね。」

春シーズンはケガで出遅れたものの夏合宿から背番号4でスタメン定着、安定したパフォーマンスを続ける三浦駿平選手を
突き動かすのは3年生だった昨シーズン終盤に感じた悔しさでした。2年生でスタメンの座を掴み、3年生も主力選手として
活躍を続けるも11月の帝京大戦で足を負傷して離脱すると、その後、早慶戦、早明戦そして大学選手権と勝負所で起用される
事はなく、最後の選手権準決勝・明治大戦でリザーブメンバーとして復帰するものの僅か1分の出場時間に終わります。

「ケガは回復したのですけど、大学選手権で出してもらえず悔しかったです。プレーにおいてもちょっと荒くて、アタック
だったらミスが多かったりですとか、ディフェンスで相手に食い込まれる場面が多かったりですとか首脳陣からしたら
使いづらい選手と思われていた。」

昨年度からLOコンビを組む1学年下の下川甲嗣選手もその悔しさを間近で感じとり、尊敬の念を込めて話します。

「その時の悔しい思いがあるからだと一緒に過ごしていて分かります。すごい自分の体に気を遣っていて、暇さえあれば
ストレッチとか自分の体のケアをやっているところをよく見ます。移動中もずっと座っていると体が凝っちゃうから…と
いって、マッサージとかしているところはすごいなと思いますし、練習中も4年生の覚悟みたいなものを感じます。」

昨年度の反省から安定感を意識しているという三浦選手、スタメン定着への意気込みを語ります。

「去年に比べてボールキャリーの部分で前に出られる回数が多くなったと思います。それが菅平で天理とか帝京とか強豪相手
にも通用したので、そこは自分の中でもかなりよかったなと思います。ディフェンスだったら引かずに全部押し返すように
そんなに目立たなくてもいいので、地道なプレーでチームに貢献できればと思います。」

話を聞きながらも何度も口をついたのが「地道」という言葉、その裏側にある思いを続けます。

「自分は派手なプレーはできないというのは4年間やってきて分かっています。無理に派手なプレーをしようとせずに地道に
チームに貢献できればいいと思っています。高校の時から運動量が持ち味という感じでプレーしていたので、今も変わらず
運動量、仕事量で勝負していければと思っています。」

下級生時代から活躍する同期のBK陣、この日も4トライをあげたCTB中野将伍選手、3トライのSO岸岡智樹選手の名前を
出すと「(BK陣のように)僕は抜けないので…」と笑った後に続けます。

「あいつらにボールをあげるためにも体を張りたいと思います。」

才能豊かなBK陣に花を咲かせるため、縁の下でチームを支える覚悟を短い言葉ににじませます。【鳥越裕貴】



試合後、マン・オブ・ザ・マッチのメダルを手に笑顔の三浦駿平選手を同期の幸重天選手、中野将伍選手が囲んで。
次戦は慶應を破って勢いに乗る筑波大と対戦。「筑波は勢いに乗っていると思うのですけど、自分たちのラグビーを
すれば絶対に勝てると思うので、一人一人が自分のやるべきことをやって勝ちたいと思います。セットプレーで、
ラインアウト、スクラムが優位に立つとチームが勢いづくのでそこで自分からしっかり核となってやっていきたいと
思います。」(LO三浦駿平選手)

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