競争

9月18日〜23日に行われたWURIT(World University Rugby Inbitation Tournament)。世界の強豪大学7チームを招いて行われた
この国際大会の試合後のシャワールームそしてアフターマッチファンクションは異文化交流の場に。

「試合後には、笑顔でナイスゲームとか『ありがとう』とか日本語で話したり、向こうも積極的に来てくれるのでそういった部分では
文化の交流というか日本語を介してですが、それなりの交流はできているんじゃないかなと思います。完璧な意思疎通は出来なくても、
表情とかで通じます。」(FL増原龍之介選手)

同時にワセダにとって、この大会はアカクロを目指すメンバーのアピールの場となりました。

「例えば小西なんかは夏合宿からの復帰だったので、この機会…ジュニア選手権もありますけど、ゲームタイムが取れたというのは
チームにとっても、彼らにとっても大きいかなと。この大会いろんな意味があると思うのですけど、単純にワセダのラグビーが強くなる
という意味に関しても非常に良かったなと思います。(大学選手権)4強になったら大体自分たちより大きい人しかいないという状況に
なります。日本人と種類の違う大きさやパワーだったりあると思うので、そういう人たちと出来たのは良かったかなと。」
(後藤翔太コーチ)

夏合宿以降、対抗戦が週末毎に組み込まれて、Aチーム中心のチーム作りに。ワールドカップ期間中に訪れたBチーム以下の見せ場に
初戦のオックスフォード大戦などゲームキャプテンを務める機会の多かったFL柴田徹選手がメンバーの思いを代表して口にします。

「今後の秋の試合に向けて、チームとしてもそうですけど、個人としてもアピールの場でもあるので果敢にチャレンジしようと
思っていました。」(FL柴田徹選手)

対抗戦3試合で全てリザーブで出場しているLO中山匠選手もこの大会に懸けた意気込みを続けます。

「これだけ体が強い選手と出来るいい機会。僕は夏の出場時間がそんなに多くなくて、ゲームフィットネス的にも不安を持っていた
ので、この期間にゲームフィットネスをまた鍛え直せるかなと。20分ハーフなのですけど、この6日間で(出場)3試合…結構ハードな
部分はありますが、ここを乗り越えたら楽になるかなとポジティブに捉えています。」(LO中山匠選手)

まだ、対抗戦デビューを果たしていないメンバーにとっても大事なアピールの場、大会を通じてスピード感溢れる走りで2トライを
あげた1年生SH小西泰聖選手もその思いを話します。

「春シーズンずっと怪我で、なかなかプレーも試合も出来ない状況でした。夏合宿で2試合は出れたのですけど、チャンスが少なかった
ので、その中で巡って来た大きなチャンス、今は対抗戦が切れていますけど、また再開する対抗戦の時にメンバーに入れるように
アピール、チャレンジする場です。」(SH小西泰聖選手)

20分ハーフの変則マッチが6日間で5試合、いずれも自分たちより大きい外国人選手を相手に戦う中で個々にそれぞれ課題や収穫を
感じ取ります。高校時代に国際大会を経験しているユーティリティBK、1年生の松下怜央選手は

「色々勉強させてもらった大会でした。やっぱり高校の時と違って、フィジカル差を素直に感じました。一方で強みのボールキャリーは
何回かトライを取ったり、通用したと思います。低いプレーを相手は嫌がっていたので、これからのシーズンでもメイジ、帝京にも
生かしていけたらと思います。」(CTB/WTB/FB松下怜央選手)

と話せば、同じ1年生のSH小西泰聖選手もオックスフォード大戦終了後に

「ディフェンスの部分でFWを後ろから盛り上げたり、バッキングしたというのは出来たところというか次に繋げられるところだったと
思います。ランのところはイケるなという確信はあります。」

と手応えを掴みます。それでもチーム全体としては、2度対戦したシベリア連邦大には連勝したもののその他の大学には完封負け2試合を
喫するなど競り負けて2勝3敗で7位という結果に。4年生LO中山匠選手はチームとしての成長の実感を尋ねられると首を捻ります。

「(実感は)正直ないです。正直ないです。」

と2度同じ言葉を繰り返し、続けます。

「ディフェンスは最初から良かったのでそこは継続していけばよいかなという感じですけど、アタックのところに関して決定力が無い、
あとはFWのセットが遅かったり、自分たちで改善できるところがあるかなと思います。ディフェンスのところで引き続き自分たちの
システムを守って、アンストラクチャーの部分でも早く戻るとかそういうところは徹底して、アタックに関してもセットを早くして、
ボールをもらう前のコミュニケーションとかを大事にしてやっていきたいと思います。」(LO中山匠選手)

チームとしては課題を残した大会、最終戦でゲームキャプテンを務めたFL増原龍之介選手は大会最後の円陣でメンバーに話しかけます。

「ディテール…細かい部分が突き詰め切れていない。クイックポジショニングでもルーズな部分が見えてしまったり、タックルで
倒しきれない部分がある。そこをしっかり改善していく事、それが一人一人のステップアップに繋がる。」

後藤翔太コーチもBチーム以下のメンバーの底上げに期待、大会を総括してあえて厳しい言葉を送ります。

「みんな、そういう意味では期待通りのパフォーマンスしか出ていないという表現かなと思います。コイツはこれぐらいやるだろうと
いうヤツはそれぐらいやるし、予想をはるかに超えたパフォーマンスを出した選手というのは厳しい言い方をすると居なかったかなと。
自分の枠の中でパフォーマンスを出したという感じです。まだこれからの試合もあるので、コーチ陣の予想を超えるパフォーマンスを
出してくれるのに期待したいですね。」

Bチームのアピールの場はWURITからジュニア選手権へ。11月から再開される対抗戦でのアカクロメンバーを懸けた競争が続きます。
【鳥越裕貴】



7位-8位決定戦のシベリア連邦大戦。前半1分、ラインアウトからのセットアタックで抜け出して先制トライをあげるCTB松下怜央選手。
「タテに切っていこうという感じで行ったらトライに繋がりました。僕自身色々チャレンジさせてもらってWTB、CTB、FBの全ポジションを
やっているのですけど、一つ一つ役割とかスペースの作り方とか違うのでとてもいい勉強になっています。そういったユーティリティな
部分が増えてくると上のチームで起用していただけるチャンスも広がると思っています。」

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