一丸

10日、2万観衆で埋まった秩父宮での対抗戦・帝京大戦。公式戦9年ぶり勝利の記者会見、指揮官はマイクを
手に取り素直な感想を切り出します。

「満員の秩父宮、素晴らしい環境の中でゲームが出来たことを嬉しく思います。そういった中、選手はだいぶ
緊張していたようなのですけども、2010年以来9年ぶりに帝京に勝利できたということを何より嬉しく思います。
色々な問題はありますけど、最後まで選手は出し切ることを信じて疑わず、いいゲームだったと思います。」
(相良南海夫監督)

後半28分に帝京大のパワープレーにインゴールを明け渡し、24-32と8点差をつけられた中でも気持ちに揺らぎは
なかったと復帰の2年生・CTB長田智希選手は話します。

「一つずつのスキルも大事なのですけど、個人としても、チームとしても直人さんを中心に勝ちきるという
気持ちの部分を大切にしようと臨んだので、最後その部分が出たかなと思います。」

後半35分、「FWみんなのトライ。あのトライで士気を上げて最後まで攻める雰囲気でプレーできた」(FL相良昌彦
選手)とスコアラー自ら振り返るトライで3点差に詰め寄ると、終了間際にPGで同点も狙える位置で得たペナルティ、
記者会見でプレーの選択肢について質問が飛びます。

「3点で同点という事も頭には浮かんだのですけど、そういった話はチーム内ではなく、トライだけを全員
狙っていたと思います。PGを狙う選択肢はなかったです。」(SH齋藤直人主将)

マイクを手に取った主将が質問にそう返せば、グラウンド上ただ一人の1年生もその時の胸の内を明かします。

「口に出して意見とかは言わないですけど、同点よりは勝ち越すことと思っていました。」(FL相良昌彦選手)

トライを取り切ることで意思統一されたチーム、最後のスクラムを前にサインプレーとともにメンバー全員で確認
したのはトライを取り急がないこと。

「ああいう展開で苦しくなった時にどうしても簡単に取り急ぐ場面が今まであったのですけど、苦しい時こそ
ひとつひとつ積み重ねて、自分たちの強みである走り勝つというものを最後に体現しようという話をしていました。
一人一人がまずレッグドライブして、いいキャリーして、一発で取りきらないというのは全員で共有していたので、
落ち着いてプレーできていたと思います。」(SH齋藤直人主将)

続けたのが普段の練習から大事にしているという仕留めの意識。主将がその成果が出たと胸を張れば、1年生も
練習の成果と口を揃えます。

「ノックオンとか、1つでもブレイクダウンがめくられたりしたら、終わってしまうので緊張はあったのですけど、
みんな取りきれるという自信、これまでいい準備をしてきたっていう自信があったので、やることはいつもと
変わらないなという思いは多分あったと思います。」(FL相良昌彦選手)

シーズン最初の大一番、この1週間の練習についてコーチから感じる部分もあったとルーキーは続けます。

「権丈さん(コーチ)がNEC時代に帝京に負けている分だと思うのですけど、思い入れが強くていつもとコーチが
違うなというのは個人的には感じていました。コーチから伝わってくる気持ち、自分でも勝ちたいという気持ちが
あって特別な思いでした。」(FL相良昌彦選手)

対帝京という特別な1週間、変化はコーチ陣だけではなくシニアチーム(A、Bチーム)から外れたメンバーにも。

「チームは2つに分かれて練習するのですけど、下のチームも今年一番の練習が出来ているとコーチからレビューを
もらっていました。帝京ウィークということを全員が認識して出来たのはよかったと思いますし、チーム全員の準備が
良かったのかなと思います。」(SH齋藤直人主将)

コーチ陣も下のチームもチーム一丸、ルーキー戦士も胸を張ります。

「部員130人全員の気持ちを背負って戦うというマインドで今日は戦えたと思います。」(FL相良昌彦選手)

10月に行われたジュニア選手権では試合毎にAチームメンバーがウォーターボーイを交替で務めて下のチームをサポート
するなど、今季のスローガンである「For One」のもと、チームの結束は日毎に強まっていきます。【鳥越裕貴】



後半2分、追撃のトライをあげるSO岸岡智樹選手。試合後には喜びを爆発させたもののブレザー姿に着替えると表情を
引き締めて。「僕らはまだ何一つタイトルを手に入れていないので。今日は勝ちましたけど次勝てるという保証もない
ですし、早慶、早明に勝てる保証もないので、ひたむきに一戦一戦頑張っていきたいと思います。」(SO岸岡智樹選手)

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