我慢

23日、伝統の早慶戦。今季ここまで3敗の慶應との対戦も、指揮官が「必ず厳しい試合になる」と予想した通りに
試合は終盤までもつれます。

終了間際、自陣深くで相手のアタックを受け続ける展開に選手達は「我慢、我慢」と声をかけあい、相手が孤立
した瞬間に、PR小林賢太選手が絡んでついに相手のペナルティ(ノットリリース・ザ・ボール)を誘い、30フェーズ
近く続いた慶應の猛攻を凌ぎ切ります。

「あのプレーでチームは救われましたし、PRであれだけ絡んでくれたらすごく助かります。」(FL幸重天副将)

と感謝すれば、殊勲の2年生右PRは言い切ります。

「今週だけでなく、ワセダとしてディフェンスを我慢していこうという話をずっとしているので、そこは意志統一
できているかなと思います。全員が我慢しきれたので、最後ああいう形でペナルティを取れたのかなと思います。」
(PR小林賢太選手)

ペナルティの解釈の部分でレフリーとのコミュニーションが最後まで取りきれず、強い雨風が吹き付ける中でキックの
コントロールやハンドリングが乱れて苦しい展開になりながらも、最後までブレなかったのは我慢の意識、リーダー陣も
言葉に力を込めます。

「ディフェンスの我慢の勝負というのは想定できていました。そこで我慢してターンオーバーすれば自分たちのゲームに
できると試合前に言っていましたし、チーム全員でディフェンスの時間は横とつながって必ず守り切ろうという意識が
共有できていたかなと思います。」(SH齋藤直人主将)

「(最後、アドバンテージを勘違いして)思いがけない形になってしまったのですけど、切り換えて我慢をしきれたのは
良かったかなと思います。シーズンが始まった時からディフェンスを中心に作り上げてきたチームだと思っているので、
自分たちのやるべきことを徹底して出来たかなと思います。慶應さんは順目順目にくるのでそこに対してFWが順目に
動き続けようと。そこで動き負けたらゲインを食らってしまうので、そこはずっとFWに声をかけていました。」
(FL幸重天副将)

鋭い出足で相手に刺さり続けたFWのリーダーは更に続けます。

「自分たちのやることをやっていればトライを取られることはないという自信はありました。日々の練習で積み上げて
きたものがありますし、フィットネスもやってきたので。勝ちきれたというのが今年のチームの強さかなと思います。」
(FL幸重天副将)

ラスト10分、体を張り続ける選手達をスタンドから見守った相良南海夫監督は記者会見で手応えを話します。

「すごく選手の成長を感じました。レフリーとなかなかこう…ミスマッチというか、相性が悪いというか…そういう中で
あの場面においては反則せずにしっかり我慢しきれた。2年間、ずっと積み上げてきていることが選手の中にしっかり
根付いてきたのかなと見て取れました。」(相良南海夫監督)

対抗戦ここまで全勝、9年ぶりの”荒ぶる”奪回をはっきりと見据える今シーズン、最大のライバルは同じく全勝のメイジ。
次週の早明戦に向けて意気込みを問われた齋藤直人主将は更なる成長を誓います。

「これまで全勝というのは嬉しいことですけども、特に前回の試合(帝京戦)と今回の試合(慶應戦)で厳しい試合を
して、部員全員いまの現状に満足してはいないと思います。メイジ戦までのちょうど1週間、メイジの対策をすると
いうよりも自分たちが1週間で成長するという意欲を持って、明治大学戦を迎えたいと思います。」(SH齋藤直人主将)

対抗戦優勝をかけた大一番は実に25年ぶりの全勝対決、懐かしい高揚感に支配された1週間が始まります。【鳥越裕貴】



後半、タックルをかいくぐって前進する1年生FL相良昌彦選手。早慶戦は過去5年、「1トライ差だとか、競った試合が
続いている」(相良南海夫監督)という言葉通り、17-10と今年も1トライ差で決着。

inserted by FC2 system