待望

2日、大学選手権準決勝、天理大戦。前半、BKで奪った3トライの起点となったのが復帰のCTB中野将伍選手。セットプレーからのタテ突進、
ディフェンス裏に抜け出てのオフロードパスでトライを演出します。

「今日に向けてリハビリ中も準備してきました。自分の役割である前に出てチームを勢いづける事、味方のスペースを作ってトライを取る
事をしようと思ってゲームに入って、最初の前半の方は自分のタテを起点に外側の早いBKがトライを取ってくれて良かったです。」

前半18分には敵陣深くでのスクラムからのセットアタックで一の矢となり、ディフェンスに楔を打ち込むと、ポイントを作る想定から
瞬時の判断でプレー選択を切り換えます。

「元々は僕がタテを突いて、そこでポイントが出来る予定だったのですけど、僕がタテを突いたところでうまく倒れずに立っていられて
3人くらい寄ってきたのが分かったので、真後ろに見えた岸岡に渡しました。」

その岸岡選手が大外のスペースへロングパス、FB河瀬諒介選手のトライへと繋げます。1年生からBK陣の大黒柱として活躍する中野将伍選手、
最終学年の今季は11月の練習中に負傷、対抗戦の終盤戦や大学選手権を欠場するのは自身にとっても4年間で初めての事。
「正直ずっと悔しい、出たい思いはあった」と苦しい胸の内を明かしながらも、気持ちを切り換えて復帰時に良いパフォーマンスを出来る
ように毎日取り組んできたと話します。

「全体的にパワーアップ出来たと思っています。フィジカルもそうですし、ケガした前よりもいい体の状態で全体的に出来ています。」

9月15日の対抗戦・筑波戦以来の実戦にも関わらず、「ヨシ(古賀由教)とはオフロードするというコミュニケーションは取っていなかった
のですけど…」と話しながらも、オフロードパスで前半23分にWTB古賀由教選手のトライを演出するなど周囲との息もピッタリ。前日の
試合前練習でもFW陣がラインアウト、齋藤直人主将がプレースキックとそれぞれ居残りで練習を行う片隅で中野将伍選手も倒れながらの
オフロードパスを最後まで入念にチェック、その成果が早速試合で形になって表れます。

「(居残り練習を)やるのとやらないのでは感覚が違うので。投げるイメージだったり、少しやっていれば自分の中でイメージもできて
落ち着くというのもあるので、オフロードパスのところは練習の時から常にイメージしてやるようにしています。」

憧れの存在であるニュージーランド代表・ソニービルウィリアムズの当たり方、引き付け方を参考にして磨き上げている得意のオフロード
パスはワセダの攻撃の幅を大きく広げます。記者会見、中野将伍選手の復帰について質問が及ぶと指揮官、主将ともに声を揃えます。

「中野の力強いプレーというのが我々の他のプレーヤーのオプションを増やしたところもあると思います。いいパフォーマンスだったかな
と思います。」(相良南海夫監督)

「対抗戦(終盤)出ていなかったので、彼の持ち味であるペネトレイトというところ、そういう意味ではオプションが一つ増えたというのは
やりやすかったですし、安心感がありました。」(齋藤直人主将)

シーズン大詰めで待望の戦線復帰、いきなり存在感を見せ付けた一戦にも本人にとっては満足する内容ではないと言い切ります。

「今日は久々の試合だったので、まだ自分の中での100%にはなってないとは思っています。今日は試合に出ただけ、決勝に向けて体の
状態はもっと上がっていく感覚が自分の中ではあるので、決勝で100%、120%の力を出せるようにまたしっかり準備していきたいと
思います。」

ライバル・メイジとの頂上決戦。決勝では「もっとラインブレイクしたい」と意気込む中野将伍選手、その突破の先に11年ぶり”荒ぶる”が
見えてきます。【鳥越裕貴】



前半、突進する復帰のCTB中野将伍選手。試合前日は部内マッチを戦った同学年のメンバー、前年度の4年生から激励を受けて。
「ゲバ(部内マッチ)を見て、出られない4年生の分もアカクロを着て勝たないといけないと思いましたし、去年の4年生も見てくれた
のでそこは(去年)超えられなかったところを超えて見せようと思っていました。」

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