準備

2日、大学選手権準決勝、天理大戦。序盤3連続トライで先行するも前半30分に天理に1トライを返され、相手に流れが傾きかけた
時間帯、後半立ち上がりの自陣ゴール前のピンチで見せた連続ラインアウトスチール、FWリーダーも胸を張ります。

「苦しい時間帯をあそこで取れたというのはチームに勢いをもたらしたと思います。」(FL幸重天副将)

指揮官も日大戦からの10日間について、「良い準備が出来た」と振り返り、その象徴としてあげたプレーが前半からプレッシャーを
与え続け、相手のアタックの起点を潰し続けたラインアウトでした。

「良い準備だけではなく、最高の準備をしようということで選手たちとやってきて、出来る事は全てやったという中でゲームに
臨みました。アタックにおいても、ディフェンスにおいてもしっかり準備してきたことを出せました。特にラインアウトは、
相手のラインアウトに対するプレッシャーは出来過ぎというか、メンバー外の選手がしっかり分析して仮想天理になって、何度も
練習してきて、今日は上手くハマったなという感じです。」(相良南海夫監督)

最高の準備の中で、空中戦の分析から仮想天理役まで大きな役割を担ったのがBチームの存在。Aチームメンバーの誰に聞いても
Bチームへの感謝の言葉が続きます。

「Bチームが準備してくれていたので、あとは僕達がやるしかないとハーフタイムに話していました。それを体現出来たことが
勝ちに繋がったかなと思います。本当にありがたいです。」(PR久保優選手)

「練習の成果が出たかなと思います。完全にBチームのおかげです、それに尽きます。分析そのままのプレーが結構多かったので、
試合を通してやりやすく出来たかなと思います。」(LO三浦駿平選手)

「Bチームがしっかり天理の対策をしてくれていたので、僕らの負担も少なかったですし、あれだけ精度高く(事前分析を)
やってくれたので、いざ試合になったら競れましたし、ワンチームだったかなと思います。」(FL幸重天副将)

そのBチームの中心でラインアウトを分析したのが沖野玄選手。天理の試合を公式戦は勿論、練習試合まで動画を見て
分析、「穴が開くほど見た」(沖野選手)と話します。オプションが多いと言われる天理のラインアウトを一つ一つ整理し、
自身が天理メインジャンパーのLOナイバルワガセタ選手役となって、Bチームに落とし込みます。

「僕は好きで(相手のラインアウトを)見ちゃったりしていますけど(苦笑)。(天理の)この形の時はこれとこれとこれと…
オプションは多いですけど、立ち方で大体決まってきたので整理すればそんなにバリエーションも多くなかったです。」
(沖野玄選手)

試合前日も最後までグラウンドに残って、Bチームで天理の動きを再現し、Aチームにイメージをしっかり共有すると、
試合中もスタンドで見守りながらもハーフタイムにはロッカールームに駆け付けてラインアウトで気付いた事を伝えます。

「前半から割りとプレッシャーをかけていたので、手応えはありました。ハーフタイムではメインジャンパーを見ると
いう事と、前回の試合(日大戦)の時に一番前で取られていたので、そこを気をつけたほうが良いという事は言いました。」
(沖野玄選手)

相手の天理大・岡山仙治主将が「自分たちがあげるところに、しっかり同じタイミングであげてきたのは早稲田大学の
巧いところ」と嘆く後半のラインアウト制圧に、Aチームメンバーが感謝していたことを沖野玄選手に伝えると
「対策をちゃんとやりきってくれたAチームがすごい」と即答、主役はあくまで選手と言い切ります。

新チーム始動時に誓い合った「まずは昨年のチームを超えよう」(齋藤直人主将)というポイントを力強く通過、
ワセダとして唯一無二の目標である『荒ぶる』への挑戦権を勝ち取ります。

「一歩一歩成長してきたチーム、9日間で一日一日成長して悔いのないように。齋藤直人キャプテン以下の今年のチームの
集大成が見せられるようにいい準備をしたい。」(相良南海夫監督)

「昨年はここ(準決勝)で終わったということで、準決勝から決勝までの間というのは今の1年生から4年生まで誰も
経験したことのない期間。全員で楽しみながら…かといって気を抜くのではなく、去年のチームは超えましたけど、
目標はあくまで日本一、残りの9日間、楽しみながらも最高の準備をして過ごしていきたいと思います。」
(齋藤直人主将)

Aチームだけでなく、部員全員で最高の準備を。下級生時代に何度も袖を通したアカクロジャージを取り戻すべく
最後のチャレンジに懸ける沖野玄選手は落ち着いた表情で話します。

「試合に出る、出ないに関わらず、自分の役目はハッキリしています。その役目をしっかりとすることかなと思います。」
(沖野玄選手)

メンバーも、メンバー外の選手も『For One』のチームスローガンのもと、全部員が一つになってライバルメイジとの
頂上決戦に最高の準備を進めます。【鳥越裕貴】



後半26分、ラインアウトモールで試合の流れを大きく引き寄せるトライをあげたFW陣。FWの核、三浦駿平選手は
「ずっと練習してきた、練習通りという感じです。日大戦で上手く取りきれなかったので、取りきれたのは自信に
なりますね。(全体的に)かなり自信をもって決勝戦に臨める試合だったと思います。」

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