初陣

10月17日、降り続ける雨の中、敵地・日吉グラウンドで行われた新人早慶戦(30分ハーフ)。
コロナ禍で入部式や菅平合宿など早大ラグビー部の伝統行事を全く経験できないままに居た今年の
1年生にとって待ちに待ったファーストゲーム。

「自分たちが入学前からイメージしていた早慶戦。寮で先輩たちからも『絶対勝てよ』という言葉を
もらっていましたし、(ライバル慶応との試合は)絶対負けられないというのは分かっていました。
試合前から緊張感をすごい感じていましたし、勝つという強い気持ちでやっていました。」

と話すのはゲームキャプテンを務めたNO.8細川大斗選手(早実)。序盤は敵陣で試合を進めたものの
キック合戦の中でミスを犯すなど時間の経過とともに自陣ゴールラインを背負うシーンが増え始めて
苦しい展開に。相手FWの近場の圧力に屈して前半で3トライを奪われると、後半終了間際にも1トライを
追加されて5-24で敗戦。

「今日は雨だったのでディフェンスにフォーカスして、入りから100%でディフェンスから仕掛けて
いこうという話をしていたのですけど、初めと最後は自分たちのイメージしていたディフェンスが
できたのですけど(試合の)中盤できなくなって…。」(NO.8細川大斗選手)

1年生もそれぞれ普段はトップチームと下のチームに別れて練習を送る日々。加えてコロナ禍における
接触リスク回避の為、同期同士であっても「練習前後に挨拶くらい…」(NO.8細川大斗選手)と例年に
ない関係作りの難しさに直面する今年の1年生、それでも同期とともにプレーをする一生に一度の舞台を
楽しみにしていたと出場選手は口を揃えます。

その一人が3番PRで出場した千葉洋介選手。2016年度卒の兄・千葉太一選手(現リコー)の後を追って、
大学4年生にして一念発起のラグビー部入部。高校(国学院久我山)時代から3年間のブランクが
ありながらも、前半のスクラムを牽引して、上級生の多い相手FWを押し込むなど見せ場を作ります。

「入った後はキツイ、キツイ…になるのかなと思ったのですけど、勿論キツイ事もあるのですけど、
それより嬉しさ、楽しさだったりの方が大きいですし、ワセダでプレーできることがすごい嬉しいです。
試合前に兄や友達からも頑張れと言ってもらえて、試合に入る前の感慨深さは特別なものがありました。」
(PR千葉洋介選手)

まわり道の末に入部を果たした千葉選手だけでなく、推薦組、一般受験組、付属校組と様々なバックボーンを
持った新入生が初めてワセダを背負って戦った試合、このチームとしてはわずか1週間の準備期間ではあった
ものの細川大斗選手は共に夢を追いかける事になる同期の仲間に改めて可能性を感じます。

「同期と初めて試合をして個々に色んな特徴があったので、ひとりひとりを生かせれば勝てると思いました。
今日負けてしまったので、今度やるときはやり返す…(試合後)相良監督にも言われましたし、自分たちも
強くそう思いました。」

試合後、冷たい雨の中、日吉グラウンドの片隅で相良南海夫監督の言葉に耳を傾ける1年生の眼光は一様に鋭く。
リベンジの舞台は3年後の11/23秩父宮、41人のルーキー達の戦いがこの瞬間から始まります。【鳥越裕貴】



前半、相手の低い弾道のキックをダイレクトキャッチ、カウンターアタックに転じるNO.8細川大斗選手。
ゲームキャプテンとして試合を振り返り、「キックを蹴られた後のキャッチミスとか、ミスが連続した時に
士気が下がってしまった…。そこは自分がキャプテンとして引き締めなければいけないところでした…。」

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