副将

11月7日、筑波大戦。対抗戦開幕5連勝、ここまで立教大戦を除く4試合でFBでスタメン出場を果たして
いるのが4年生南徹哉副将。

「チームとしてはずっと試合が出来ていなくて、不安の中で(秋シーズンが)始まっていたのが徐々に
 試合を重ねる毎にチームとしてやろうとしている部分が出来てきて、それが積み重なって自信が
 ついてきているかなと思います。」

チームを最後尾から支え、自身のプレーにも徐々にエンジンがかかってきたと手応えを掴みます。

「初戦(青山学院大戦)は初めての秩父宮ですごく緊張してしまって縮こまったプレーになって
 しまいましたが、最近は吹っ切れたというか色々やろうとしても無理なので、自分の出来ることを
 思い切りやろうと思って、そこからは上手くいっているのかなと思います。カウンターで抜けたり
 とか、抜けてきた相手を止めたりとか、強い相手でも自分の仕事ができている事に手応えを感
 じています。」

コーチ陣にも相談し、やるべき事を絞ると、ここ数試合は思い切りの良いカウンターアタックで
チームに勢いを与えます。

「カウンターアタックは調子が良いです。長井さん(バックスリーコーチ)とも練習で積み上げて
 きたので、それこそ迷いなくというか、小さくステップを踏んでもあまり抜けないですし、
 あまり上手くないので決めたところに突っ込もうと思っています。抜ける時はそれがうまく
 ハマっていると思います。」

意識するのはキャッチした瞬間に走り出すこと、好調の要因について続けます。

「だいたい相手のチェイスはこう来るだろう…と、イメージしてからとりあえず走り出すように
 しました。後ろで迷っていても相手のラインがどんどん上がってくるだけなので、ランすると
 決めた時は走り出してから細かいコースを決めるようにしています。」

福岡・修猷館高校出身。高校3年生時の花園予選は第95回記念大会、出場枠が広がり、福岡の
絶対王者・東福岡以外の高校にも大きなチャンスがあったのの県予選・準決勝で筑紫高校に敗れると、
その筑紫が東福岡とともに花園出場、あと一歩のところで全国大会出場を逃す悔しい経験をします。

「メイジの山崎洋之とかがいた代の筑紫に負けました。それまでは大学ラグビーは現実味のない世界、
 実際に自分がやるかはフワフワしていたのですが、最後の試合がすごく悔しくて、大学でやりたいと
 思うようになりました。」

早大ラグビー部OBの父親の影響もあって、幼少期からラグビー観戦と言えばワセダ。それ以外の大学は
頭になくワセダ一択で受験勉強、同じ修猷館の永嶋一光選手(4年FL)と予備校で机を並べてともに
ワセダを目指し、筑波大戦でマン・オブ・ザ・マッチを受賞した平井亮佑選手と合わせて3人揃って、
修猷館から一浪でワセダへ。

下級生時から春シーズンはAチームで出場機会を与えられるものの秋本番になるとアカクロは遠く。

「春は上の(チームの)選手が居なかったりで巡って来たチャンスを、秋になるとチャンスはあったのに
 譲ってしまっていて…どこかで仕方がないと思っていた部分もあったのかもしれないです…。」

レギュラーポジションを掴めないままに迎えたラストイヤー、新体制がスタートすると、丸尾崇真主将から
副将に指名され、下のチームからレギュラーに挑む選手たちの象徴になってほしいと言われます。

「最初は副将をしなきゃ…とか気にしていたのですけど、それ以上にまずはプレーヤーとして成長する、
 そういう姿を見せる…と思うようにしました。」

グラウンドではプレーヤーとしての勝負に集中しつつも、練習を離れると副将として部内の雰囲気を
細やかに目配り。

「コロナの影響でグラウンド外でも、寮生だと遊びにいけない…寮から出られないストレスとか。外勤でも
 練習に来ることもできなかったりだとかのストレスとか。他のヤツがどういう風に思っているかは話したり、
 気にしたりしていました。自分たちはこう思っているけど、他のメンバーはどう思っているのかとか…
 上手くできたかはわからないですけど、不満とかがちょっとでも無くなればよいなと思っています。」

そうした細やかな目配りはグラウンドでも持ち味の一つに。中学から同じチームでプレーする平井亮佑選手は
南副将の存在について

「一緒にプレーしていて安心できます。後ろを守ってくれる存在で、しっかり声掛けとかをしてくれて
 (ラインを)整備をしたりとか頼もしい存在です。」(CTB平井亮佑選手)

対抗戦も終盤戦、伝統の早慶戦・早明戦を前にポジション争いも激化、自身の置かれている立場もしっかりと
意識します。

「河瀬も復帰してきてこの間は10番だったのですけど、吉村も復帰するとあいつがどうなるかもわからない。
 ここからが本当のポジション争いになるのかなと思います。派手なプレーというよりは泥臭いプレーだったり、
 後ろから声を出し続けて、無駄走りというか、後ろでずっと動いたり、目立たないけどしっかり仕事を
 できるようなそんなプレーを残り2試合も心掛けたいと思います。慶応と明治で厳しい戦いになると思うので、
 そんな時にチームを勇気づけられるプレーが出来たらと思います。」

帝京戦の坪郷選手、筑波戦の平井選手…南副将と同じ一浪一般受験組がマン・オブ・ザ・マッチを連続受賞。

「Aチームで見ると去年は出ていなかった選手が出てきて活躍しているのは良いことだと思います。一緒に
 新人練から下のチームでやってきましたし、平井に関しては中学から知っていてそういうプレーヤーが
 活躍するのは嬉しい気持ちもありますし、次は自分もやってやりたいなという思いもあります。」

次は自分の番だと静かに闘志を燃やします。【鳥越裕貴】



後半、果敢に仕掛けるFB南徹哉副将。スタメンには高校時代の後輩、LO下川甲嗣副将を含めて修猷館高校出身の
4年生が3選手。「過去こんな事はないと思います。(時期が)被っている先輩、後輩は応援してくれていますし、
(修猷館の)顧問の先生とも連絡を取っているのですけど、毎試合応援してくれて(高校)OBの方も応援して
くれているというのを伝えてくれます。ワセダOBだけでなく高校のOBも応援してくれているのは嬉しいです。」

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