前進

11月7日、筑波大戦。難敵相手に前半に6トライと畳み掛けて50得点で快勝、試合後マン・オブ・ザ・マッチに
選ばれたのが4年生CTB平井亮佑選手。

「自分がもらうとは思っていなかったのですけど、自分がやるべき仕事であるコンタクトプレー、アタックでは
タテのプレー、ディフェンスではタックルのところ、そこを遂行できたことが評価されたのかなと思います。
ただ、まだ70〜80点です。タックルで飛び込んでしまうところが結構あって、そこはもっと修正すべきところ
と思います。」

前週はFL坪郷智輝選手がマン・オブ・ザ・マッチ受賞、同じ4年生、一浪一般受験組の活躍に背中を押されます。

「やっぱり勉強して頑張ってワセダに入って、(坪郷選手とは)共通点も多かったので、すごい自分のプレーの
刺激にはなりましたし、次は自分が取ってやろうという気持ちで臨みました。」

攻守に前に出るプレー、特にアタックでは174センチと上背はないものの強さを生かして相手ディフェンスに楔を
打ち込みます。また、前半32分にはSH小西泰聖選手から直接パスを受けると内に切り込んでディフェンスラインを
鮮やかに突破、相手に指一本触れさせない快走でポスト真下に飛び込みます。

「ハーフとタイミングを合わせながらスペースを狙うというのは練習でやっていたところでもあったので、
ハーフとコミュニケーションを取りながら上手くいったかなと思います。」

勉強、ラグビーともに高いレベルで両立したいと福岡・修猷館高校から早慶を目指し、1年間の浪人生活を経て
上井草へ。入部後間もなくして入寮すると、同部屋は中野将伍選手(現サントリー)。高校時代にオール福岡で
一緒にプレーした同郷、同い年、同ポジション、1年先に入部した”先輩”の存在に落ち着く部分はありながらも
グラウンドに出れば最強のライバル、ルーキーイヤーから早稲田のエースとして君臨するその姿を強く意識します。

「大きな壁でもあったのですけど、勝つために何をしなければならないかはすごい考えていました。(中野選手と)
 プレースタイルとか被るところもあったのですけどコンタクトで引かない、タックルで一歩でも前に出るところは
 常に意識して、『中野将伍』よりも強いプレーで…というのはずっと意識していました。」

Bチームの12番として、練習から常にAチームの12番中野将伍選手とマッチアップしながら、目の前の壁をどう
乗り越えるかを考え続けることで「自分も強くなれた」と振り返ります。今年に入り、コロナ禍で自粛期間が
続いた間も、与えられた環境下で武器であるタテへの強さを磨きます。

「自粛期間はウエイトトレーニング。それから対人でのトレーニングができなかったので、ダミーを対人に見
立ててチームに合流した時にすぐ実戦をできるような体を作っていく…というイメージでやっていました。」

筑紫丘ラグビークラブJr.スクール、修猷館高校、更には一浪してワセダ…と中学時代から同じ時間を過ごして
きたFB南徹哉副将は平井選手について「僕が言うのも偉そうになりますけど…」と笑いながら話します。

「特段、筋トレですごい数値をあげるとかじゃないのに体が強くてタテのプレーはアタック、ディフェンスでも
 ”際”で強いプレーヤーだと思います。でも、パスとかが不器用と、中学でも高校でも言われていました。」
 (FB南徹哉副将)

そこからの成長、影の努力が凄いと続けます。

「練習前後でもずっと一人でパスの練習をしているし、大学に入って一番パスがうまくなっているんじゃないか
 と思っています。今年に入ってからオフロードの練習にも取り組んでいて帝京戦でも平井のオフロードから長
 田のトライになって、黙々と練習してきた部分が形になって出てきていると思います。」(FB南徹哉副将)

下級生時代からの持ち味であるタテの強さに加えてプレーの幅広さも身に付けつつあるラストイヤー、
日本体育大戦から3戦連続で12番スタメン、持ち味のコンタクトが帝京、筑波といったフィジカルの強いチームに
対して通用したことでレギュラー獲得に手応えを掴みます。

「帝京戦はディフェンスの部分で入れて、一発で倒すこともできて自信につながる部分がありました。
 筑波戦ではアタックのところでいいボールをもらうことができたので自信になります。」

2年生時も、3年生時も春シーズンはアカクロを着つつも秋になるとBチームが主戦場となり、悔しい思いを重ねて
きた平井選手…ライバルの多いポジションでの自身の差別化ポイントを話します。

「今年も1年生にいい選手が入ってきて、自分がどう戦うべきかと振り返ってもコンタクトの部分だなと思って
 います。そこを突き詰めてアタック、ディフェンスともにチームを活気づけるプレーで貢献したいです。」

絶対的な存在であり続けた中野将伍選手の影でも、コロナ禍でアピール機会を奪われた中でも、プレースタイル
同様に真っすぐに前だけを見続け、力を伸ばし続けてきた平井亮佑選手。掴みかけている12番の座、
シーズン最後まで誰にも譲りたくないと意気込みます。【鳥越裕貴】



後半、突進するCTB平井亮佑選手。推薦組が名前を連ねるBK陣にあって南徹哉選手とともに一般受験組で堂々の
スタメン。「上手なプレーはできないと思っているので、泥臭く何度も何度もしつこく。そういうところは
受験組の色んな経験が生かせるのではないかと思っていますし、そういうところでは負けないようにと
意識しています。」

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