姿勢

12月25日、今季二度目の「早明戦」の試合前日練習、グラウンドに出来た全部員の輪の中で一際大きな声で決意表明を行ったのが4年生LO桑田陽介選手。

「ワセダのLOとして、ワセダの代表として80分間体を張り続けます!!」

今月5日の対抗戦が桑田選手にとって4年目にして初めての早明戦出場。3年生時にもリザーブでメンバー入りしていたものの出場機会が無くベンチに座ったままノーサイドの笛を迎え、悔しい思いをしていただけに今年の出場には特別な思いがあったと振り返ります。

「昨年はチームもスコア的にも劣勢で外から声をかける事しかできず…自分自身まだ力不足でした。昨年出られなかった分、レギュラーで出たいという思いもありましたし、出る意味の重さも感じていました。練習試合で何度かメイジとやりましたけど、秩父宮でメイジ相手というあの舞台は緊張もしましたが、憧れの舞台に立てたという喜びもありました。」

自分のやるべき仕事、責務を果たし、チームを勢いづけることにフォーカスして臨んだという一戦で前半終了間際にはハードタックルで相手のペナルティを誘うなど存在感を見せます。

「そこまで僕自身何もやれていなかった…自分自身5番として立たせてもらっている中で姿勢で見せなければならない立場、何もできていない焦りもあったのでああいうプレーが出来てよかったです。」

愛知・明和高校から2年間の浪人生活へ経て入部、同期とは2歳差ながらも”愛されキャラ”…ポジションや経歴は全く異なるものの河瀬諒介選手は仲の良い部員の一人、グラウンドでは常に一緒に行動します。

「あいつ(河瀬選手)が僕の事、好きなんですよ。」と桑田選手が笑えば、この言葉を河瀬選手に伝えると「逆もしかりだと思いますよ。」(河瀬選手)とこちらも笑います。

「1年生の時から分け隔てなく公平に扱ってくれます。そうやって何でも受け入れてくれるのがワセダ、浪人生は現役に比べて身体的にも厳しくなる部分があると思うのですけど自分の努力次第、行動次第でこうやって上がれる。体を張ってチームに対して一生懸命貢献するというところで、チームに影響を与えることができるという事を後輩達にも見せていきたいですし、そういうのを見て全国の浪人生に『ワセダいいな』と思ってもらえたら。」

公式ホームページのプロフィール欄に記載した座右の銘『千里の道も一歩から』の言葉どおり、1年生時から出来る事を一つずつ積み重ねて辿りついたアカクロジャージ、その姿は一般受験・浪人組に勇気を与えます。泥臭いプレーでチームに貢献する仕事人、選手権を前に自らの仕事は変わらないと力を込めます。

「1年生の頃から自分自身不器用だと思ってやっています。愚直に最前線で体を張り続けることでチームに勢いをつける、自分の役割は体を張って姿勢で示す事。4年生としてもLOとしても役割を果たしていきたいです。」

最後尾から指示を出す河瀬諒介選手も、最前線で戦う盟友・5番の背中にかける言葉はただ一つ。

「ディフェンスのところで彼は元々タックルが強いので、そこで前に出てくれるので頼りにしています。あまり器用なタイプじゃないので、あれやこれやと言わず、思い切り行け!…と言いたいなと思います。」(河瀬諒介選手)

前回の早明戦では寄せ書きの儀式で「貫」と書き入れた桑田選手、その思いは大学選手権でも変わらないと話します。

「今までどおり、拘ってきたことを最後まで貫きます。」

2年の浪人生活、4年間の努力の末に掴んだ憧れの早明戦出場、6年分の思いを再戦の舞台でもぶつけます。【鳥越裕貴】



前日練習で汗を流す桑田陽介選手。名古屋に住むご両親も試合の度に上京。「早慶戦、早明戦という舞台でレギュラーとしての姿を見せることが出来てうれしかったです」。親孝行の続きは大学選手権で。

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