意識

6月12日、春季大会最終戦となった日大戦。教育実習でチームを離れ、1ヶ月ぶりの実戦となったのが4年生CTB松下怜央選手。自身が不在だった1ヶ月間、同学年の吉村紘選手とルーキー野中健吾選手がCTBのポジションで活躍、正直な気持ちを口にします。

「(2人の存在は)気になっていましたね。3年生からスタメンで出ていた身としては、4年生もスタメンで出続けたいと思っていますし、2人ともいいプレーをしている中で、自分は教育実習で練習に参加できない…アピールできる場がなかったので内心焦っていました。1カ月ぶりの試合だったのですけどアタック、ディフェンスともにいい出来であったかなと思います。」

ポジション”奪取”に向けて気持ちを込めた一戦、先制トライに繋がった仕掛けや、広い守備範囲で存在感を見せつつも細部に目を移せば、課題も出たと振り返ります。

「ディフェンスはキックカウンターから抜かれたところ、野中とのコミュニケーションが足りなかった…コミュニケーション量を増やしていきたいです。アタックは自分でキャリーに行くのか、ハンズでいくのかの判断の正確さを夏、秋に向けてやっていけたらと思います。自分で仕掛けて放っておけばトライに繋がったかなとか、今のところは自分で仕掛けた方が良かったかなとか、久しぶりに試合をやってみて感じる部分がありました。」

5月中旬〜下旬にかけての2週間の教育実習中はチームを離れて横浜の実家に戻り、近くの高校に通って保健体育の先生として高校生を指導、これまでの授業を受ける立場から、授業をする立場に変わって価値観が大きく変わったと話します。

「高校生はピュアというか真面目に聞いてくれる。どう教えたら生徒達が楽しく出来るのか、どういう授業を展開していくか…。目的がないと意味のない授業になってしまうよ…と担当の先生から指導頂きましたし、そこが一番学んだところかなと思います。」

上井草から戻って練習に合流すると、教える側のコーチがどういう目的を持っているのかを今まで以上に意識するようになったと話します。
昨年度レギュラーポジションを掴んだ松下怜央選手にとって忘れられない試合は昨年12月の大学選手権準々決勝・明治大戦。

「やっぱり自分が最後ミスして終わってしまったというのがあるので…。上のチームで戦って、一つのミスで負けるという事を体感した試合です。ミスに対する意識がめちゃくちゃ変わりましたし、チームとしても個人としてもミスをしないよう拘りを持ってやっています。」

ミスへの意識とともに気付いたのは4年生の存在の偉大さ、言葉を続けます。

「長田さんの代を見ていると長田さん、河瀬さん、賢太さんが筆頭となって戦っていたから、自分も思い切って自由にプレーできていた。そうやって感じたからこそ、あの3人のような存在になっていきたいと心境的に変わりました。」

ラストイヤー、話の中で何度も「4年生として」という言葉を口にします。

「(欠場した前週の)帝京戦を見た時に戦っているのが2年生中心だということを言われました。ここからは4年生が中心となって、4年生が引っ張る。自分としてもプレーで引っ張っていきたいです。チームの中心となって自分が先頭に立って、後輩達を引っ張っていくことを意識していますし、下級生から信頼される4年生になりたい。」

公式ホームページの「今年、ここに拘る!」に記載した言葉は「ミスしないための準備」。一つのミスでシーズンが終わった昨年度のリベンジを果たす日まで、4年生らしく自らにベクトルを向けて意識高く戦い続けます。【鳥越裕貴】




BKの複数ポジションをこなせるユーティリティプレーヤー・松下怜央選手。「経験値でいったらWTB、CTBですが、特に拘りはなくて試合に出られるポジションであれば、どこでも良いです。そこでベストを尽くすというスタンスです。」

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